クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 そこまで聞いてたのか……。

 いや、だがそこを聞いているならあの言葉を聞いていないのか?

 疑問を抱えながら、とりあえず誤解と真実を確かめるためにうららに向き合う。

 はてなを浮かべているうららの瞳と合い、俺はちゃんと昨日の出来事を伝えた。

「あれは部活の用具の片付け頼まれたんだよ。それにあの教室に居たのは、あの教室に部活のいろんな用具を一時的に置いてたから。在庫確認の後に用具を倉庫に持っていくのも頼まれたって事だ。」

「そ、そうだったんだ……。」

 はぁ……と、うららは心の底から大きな息を吐き出した。

 まさか、うららがあの場にいたなんて。しかも、誤解されるところだけを聞いてしまったんだろう。

『龍己君、この用具の山持っていく手伝い付き合ってくれない?』

『はぁ……分かりました、いいですよ。』

『やりぃ! 他の部員も呼んでくるから、龍己君は用具運んどいてくれない?』

『はいはい、分かりましたよ。』

 多分、『付き合ってくれない?』の部分だけ聞いて誤解したんだと思われる。

 うららは早とちりなところもあるからな……。