「好きだよ、りおくん。」

 目の前には、熱を出して倒れたうらら。

 ……が、俺の制服を掴んで離そうとしない。

 そして俺は、とうとう現実と夢の区別がつかなくなったのかと本気で考えてしまった。

 けど、それは夢でも幻でもなくて。

「大好き、大好きだから……私から、離れないでほしい……っ。」

 縋りつくように俺に抱き着いてきたうららに、心臓がこれ以上ないほど波打つ。

 待ってくれ、うらら……っ。

「……それ、どういう意味だ。」

 “好き”なんて、軽々しく口にするもんじゃない。

 それはうららも分かってるはず……だと信じたいが、今はうららが“幼馴染”として言ってきていない事ははっきりと分かった。

 まさか、と憶測が広がるもすぐ払拭する。

 うららに限って、この鈍感っ子に限って、そんな都合の良すぎる事あるわけがない。

 小さく吐き出した声で、言葉の真意を尋ねる。

 すると……うららは上目遣いで、俺をじっと見つめてきた。

「私ね、りおくんのこと好きなの。幼馴染じゃなくて、恋愛の意味で。」