クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 頭にあんな勢いのあるボールが当たったら、きっと痛いだろうなぁ……。

 なんてどこか他人事に思い、ぎゅっと目を瞑る。

「……っ、うららっ!」

 ――でも、瞬時にふわっと温かい体温に包まれた。

 この声、この体温は……りおくんだ。

 だけど私は、もう身体的に限界だった。

「……りおくん、ごめんね。」

 迷惑かけちゃって。

 一瞬だけ見えたりおくんの表情は、これまでにないほど泣きそうに崩れていて。

 また謝らなきゃなぁ……と、思いながら私は気を失った。



『俺、彼女できたからもううららとは一緒に居られない。』

『待って、待ってよりおくん……っ!』

『じゃーな。』

 ……嫌、だよ。

 そんな最悪な夢のせいで、目を覚ましてしまう。

 まだまどろみの中にいたけど、視界にある人物が入ってすぐ我に返った。

「りお、くん……。」

「うらら、起きたのか。」

 私はどうやら、保健室のベッドに寝かされているらしい。

 保健室特有の匂いが掠めて、やっと現状を理解する。

 ……私、また迷惑かけちゃった。