クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 相手チームにもバレーが上手い人がいるらしく、点差が縮まっていく。

 あっという間にほとんど僅差の状況になっていて、試合もそろそろ終わる時間。

 ……頑張れ、りおくん!

 そう、エールを送った時だった。

 ――ズキッ

「っ……!?」

 いきなり、頭が鈍器で殴られたような衝撃がやってきた。

 我慢できるほど軽いものじゃなくて、段々しんどくなっていくもの。

 今頃、ぶり返してきたのっ……?

 風邪を放っておいてしまっていたからか、立っているのもしんどいほどの痛みに襲われる。

「うららちゃん? ……って、どうしたのっ!?」

 その時隣で一緒に観戦していた女の子が、私の異変に気付いた。

 だけどどうしていいか分からないようで、「先生呼んでくる!」と言って立ち上がった。

 ……それと同時、だった。

「うららちゃんっ……!」

 その女の子の声が聞こえた途端、完全に私の動きが止まった。

 バレーボールが、こっちに向かって飛んできているのだ。

 避けなきゃいけないのに、体に力が入らなくて動けない。