クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

「なーにため息吐いてんの。そんなんじゃ、幸せ逃げちゃうよ。」

「それでも、私はそれくらい苦手なの……。」

「うん知ってる。うららは中一の頃から体育と数学凄く嫌ってたからね。」

 うんうん、と隣で頷く志珠ちゃん。

 他人事だと思ってる、これ……。まぁ、実際他人事だから仕方ないんだけど……。

 それでも、志珠ちゃんは結構冷めてるっ。

「「「頑張ってーーー!!! 龍己くーん!!!」」」

 ……わっ、凄い大声。

 いきなり向こうから飛んできた大声に、私も志珠ちゃんもびっくりして肩を揺らしてしまった。

「何事……って、また凛遠か……。」

 志珠ちゃんは一目見て、どうして声が聞こえたか分かったらしい。

 私もすぐ視線を向け、すぐに理解する。

「りおくん、やっぱり凄いね。」

「いやあれは人間の成す技じゃないって。」

 男子はサッカーをしているらしく、ちょうどりおくんがゴールにボールを入れたところだった。

 結構離れたところから蹴っていたのに、ゴールネットが分かりやすく大きく揺れるほど勢いがあった。