クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 そして、何かに気付いたようにおもむろに手を伸ばしてきた。

「ごめんなさい。少しだけ、我慢してください。」

 謝罪の言葉が聞こえたかと思うと、すぐに伝わる冷たさ。

 気付けばおでこに手を当てられていて、想空君は悲しそうな表情へと変えた。

「熱出てるじゃないですか。どうして今日、学校に来たんですか?」

「……だって、家族に迷惑がかかっちゃうから。」

「やめてください。そうやって、無理に笑うのは。」

 あははと乾いた笑みで正直な事を伝えたのに、想空君からはそんなお叱りが。

 無理に……か。

 私はよく、無理をしているらしい。

 自分では自覚していないけど、傍から見たら無理をしているように見えるらしい。

 それは想空君にも、そう見えているって事だ。

「……もしかしてですけど、昨日泣いていた事と関係ありますか?」

「……うん。」

 風邪をひいているから、決意が揺らいでいる。

 だから自然と、口から本音が溢れ出した。

「私、失恋しちゃったんだ。」