クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 ……でもそのせいで、苦しくなっているのも事実で。

《今日は用事があるから先に学校行くね。》

 ごめんね、と付け加えてスマホを閉じる。

 用事なんか、あるわけない。

 日直でもないし、特別急いでいるわけでもない。

 だけどりおくんと一緒に登校するのはきっと、苦痛だから。

 いつも通りにしようって思うのに、苦しくてできない。

 自分がどれだけ心が弱いのかなんて、痛いくらい分かっている。

 だからこそ、だから。

 ……りおくんと離れなきゃって、いつかは思ってた。

 いつまでも甘えるわけにはいかないんだって、例えりおくんが許してくれたとしてもいつかは離れるからって。

 練習だと思えば、苦じゃない……と思う。

 ……本当は風邪のせいで、いつもよりもしんどいけど。

 私は無理に微笑みを浮かべて、涙が零れ落ちないように頑張った。



 ……はぁ、やっぱりしんどい。

 無事学校には着けたけど、昇降口でギブアップだ。

 とりあえず、保健室で休ませてもらおう……。

 風邪も症状は目立たないし、ゆっくり休めば楽になるだろう。