クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

「そうかしら? でも、やっぱりちょっと赤い気が……」

「だ、大丈夫だよっ! それよりもお母さん、今日はお仕事早いんじゃなかったっけ?」

 時計に目配せしながら、心配してくれるお母さんにそう言う。

 するとお母さんは我に返ったように、急いでお仕事に行く準備を始めた。

「わっ、もうこんな時間っ……! それじゃあお母さんはお仕事行くけど、何かあったら連絡するのよ?」

「うんっ。行ってらっしゃい、お母さん。」

 バタバタと急いで出て行ったお母さんを見送り、大きく一息吐く。

 ごめんねお母さん、騙しちゃって……。

 隠し事は良くないってこの前分かったばかりなのに、また隠してしまった。

 でも今回のは私の自己管理不足だから、誰かに迷惑をかけるわけにはいかない。

 それこそ、りおくんには……。

《分かった。》

 昨日私が送ったメッセージにはすぐに既読がついていて、下に短い返信があった。

 少しだけそっけないと思ってしまった私は、自分が思うよりりおくんが好きなのかもしれない。