クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 それでも、今は……っ。

《用事思い出したから、今日は先に帰るね。》

 ――りおくんと顔を合わせるのが、辛かった。

 ごめんね、私のわがままで。

 既読がつく前に急いでスマホを閉じて、昇降口で靴を履き替える。

 その時にメールが来た合図が聞こえた気がしたけど、私は聞こえないふりをした。

 ……やっぱり私は、恋してるんだ。

『嫌な気持ちになる時もあるの。』

『好きな人に別の人が接触したら、自分は嫌な気持ちになるの。』

 今になって、志珠ちゃんの言っていた“嫉妬”の意味が分かった。

 うぅっ……こんなに苦しくなるなら、恋心なんて自覚しなきゃ良かった……っ。

 なんて思っても、今はもう遅い。

「……あれ? うらら先輩?」

「……そあ、くん……?」

「っ……先輩、どうしたんですかっ!?」

 そして、今日は厄日なのかもしれない。

 後輩にこんな情けない姿を見せちゃう事になるなんて、私はついてないなぁ……。

 急いで涙を拭って、無理に口角を上げる。

「大丈夫だよっ、ただ目にゴミが入っただけで……」