「……そうだったんだな。そんなに楽しかったのか?」

「うん、とっても!」

 笑顔で大きく頷いてみせる。

 だけどりおくんは少しだけ、複雑な表情を見せた。

 ……あれ? どうしたんだろう?

 まるで何かに耐えているかのような、そんな苦い表情。

 でもすぐいつもの無表情に戻ったから、気にしないでもいいのかな?

「……もうこいつ殺す気だろ。」

 ぽつりと呟かれたりおくんの苦しそうな声色は、私には届かなかった。



「ようやく仲直りしたんだ。そりゃあおめでとう。」

「あ、ありがとう……?」

「何で疑問形? まぁ良いけど。」

 お昼休憩、私と志珠ちゃんは自動販売機に向かっていた。

 志珠ちゃんがお茶を買いたいらしく、私もついてくるように頼まれたんだ。

 何となく、この話をされるのは分かっていたけど……あはは。

 ガシャン、と自動販売機からお茶を買った志珠ちゃん。

「そこ、とりあえず座ろ。」

「う、うん。」

 そして志珠ちゃんに言われるまま、自動販売機の隣にあったベンチに座る。