……あの日の事、率直に聞いてしまおう。

 だが先に、うららの話を聞かなければいけない。

 俺の隣にいるうららは、そわそわして落ち着かない様子。

 目が泳いでいて、何度も拳を作ったり手を広げたりしている。

「……どうしたんだ、うらら。」

 そんなに言いにくい事なのか……?

 うららはいつも、すぐに俺にいろんな事を話してくれる。

 だからこそ、うららがここまで頑なに言おうとしないのがどれだけ重大な事なのかが分かる気がした。

 だけど……言ってほしい。

 それとも俺から先に、尋ねたほうが良いか?

 ……いや、それはダメだ。

 うららの話次第で、俺も話すかどうかを決める。

 もしかすると、あの日の事は聞かれたくないかもしれないし、言いたくないかもしれない。

 ……うららが言わなくても、俺があの一年から聞き出すかもしれないが。

「……えっと、ね。」

 その時、うららが恐る恐る言葉を紡ぎ始めた。

「りおくんにずっと、三日前の事黙ってて……それで、言わなきゃって思ったの。あの日の、事……聞いて、くれる?」