俺は今、うららの家のリビングにいる。

「ごめんね、りおくんお待たせっ。」

 ソファに座って待っていた時、うららがキッチンから二つのマグカップを持ってきた。

 その一つを俺の前に置いてくれ、俺の隣に座る。

「ありがとう、うらら。」

「ううん。こっちこそ……急に来てって言っちゃって、ごめんね。」

 申し訳なさそうに眉の端を下げて俺を見つめるうらら。

 ……っ、たく。

 それが可愛すぎて、心臓がうるさいほど高鳴る。

 我慢するんだ、俺。自制を利かせるんだ。

 何度自分をそう𠮟ったかなんて、もう数えきれないほどだ。

 ……だが何故、うららは俺を家にあげたのだろうか?

『この後私のお家に来て……? 少し、話さなきゃいけない事があるの……。』

 さっき言われた言葉が、不意に脳裏をよぎる。

 今はうららの両親がいない状態。

 そんな状態で俺を家にあげた事は今までなかったし、これからもないと思ってた。

 だけどそれくらい、うららにとっては大事な話なんだろう。

 俺だって……聞きたい事があったから、ちょうどいい。