クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 信頼していないわけじゃない。

 だがこんな事で、大貴の時間を使わせるわけにはいかない。

 これは……俺の問題だから。

 俺の未熟さが招いた、失態だから。

 その時、向こうでホイッスルの鳴る音が飛んできた。

「お、それじゃ俺行くわ!」

 無駄に元気な大貴が、たまに羨ましい。

 何も考えていないようで、幸せそうで、何にも妬んでなさそうで。

 真っ黒な俺とは大違いなんだ。

「あ、そういや凛遠。」

「何だ。」

 てっきり走って行くものかと思っていたが、何故か大貴はこっちに戻ってきた。

 何か用事か……?と思いつつ、大貴の話を聞く。

「あんま深く考えんなよ。考えたってどうにかならないもんはならないし、当たって砕けたほうが絶対良いからな!」

 「んじゃ行ってくる―!」と言い残し、バスケを始めた大貴。

 ……大貴は大貴なりに、大変なんだな。

 俺ばかりが考えているわけじゃない……って事か。

 あいつ、能天気そうに見えてよく考えてるんだな……。

 大貴の能天気っていうかドジっぷりは嫌と言うほど分かっているから、それが少し意外だった。