クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

「何はともあれ、僕はそろそろ帰りますね。うらら先輩、また今度お話ししましょう。」

「あっ……うん、バイバイッ。」

「はい、気を付けて帰ってくださいね。」

 とりあえず手を振って、想空君は教室を出て行ってしまった。

 その後は、静寂が待っていた。

 何も言えない空気感で、どちらからとも話そうとしない。

 ……何を話せば、いいんだろう。

 一番はそれで、口を何度も開閉させるも何も言う事ができない。

 でもその静寂も長くは続かず、先にりおくんが口を開いた。

「なぁ……あいつと、何話してたんだ。」

「な、何でもないよ……!」

 言えない、告白されただなんて。

 口を突いて出た言葉を肯定するように、無理やり笑みを作る。

 りおくんは過保護だから、言うなんてできない。

 これは私と想空君の問題だし、りおくんに話せばまた私は甘えてしまうだろうから。

 勘の良いりおくんは、気付くかもしれない。

 だから私は、強行突破に出るしかなかった。

「りおくん、そろそろ帰らなきゃ下校時間になっちゃう……!」