クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 っ……ちょっと沁みるなぁ……。

 でも何とか流せ、ハンカチを取り出そうとポケットを片方の手で探す。

 ……あれ、ない。

 少し探ってみるも、後からはっと気づく。

 そういえば、ハンカチはスクールバッグに入れたままだった……。

 ど、どうしよう……このまま行くわけにはいかないし……。

「うらら。」

 困り果てて項垂れかけたその時、背後から名前を呼ばれた。

「あっ、りおくんどうしたのっ?」

「ん、これ。」

 もう片付け終わったのかな?

 そう思って尋ねてみると、りおくんは短い言葉と共に青色のハンカチを差し出してくれた。

 これって、りおくんのハンカチだよね……?

「さっき手切ったんだろ? どうせハンカチバッグに入れたままなんだろうから、これ使え。清潔なやつだから安心しろ。」

「あ、ありがとうりおくんっ。」

「……どういたしまして。」

 分かってたんだ。手切っちゃったのも、ハンカチ忘れちゃった事も。

 ちょっと申し訳ない気もするけど、この際は仕方ない。

 りおくんのハンカチで傷口を軽く拭き、すぐに返却する。