『うらら、これ返してほしけりゃ捕まえてみろよ!』

『か、返してっ……!』

 私は昔から、男の子が苦手。

 男の子に対しては、良い思い出があまりない。

 ずっといじめられて、悲しい思いばかりしてきたから。

 でもそんな中でも、一人だけは違った。

『ダサ。そんなしょうもない事して、馬鹿なんじゃねぇの。』

 ……私はその言葉に、凄く救われたんだ。

 幼い頃から私を守ってくれた、幼馴染みに。



 ふわ……と大きなあくびを一つ。

 眠たい、なんて思いながらも重たい体を起こした。

「起きなきゃなぁ……。」

 起きないと……と思えば思うほど、起きたくなくなるこの現象。

 こんな現象、合ってもただ辛いだけなのになぁ……。

 きっと一生消えないだろうその現象を恨めしく思いながら、ベッドから降りてフローリングの床に足をついた。

 冷たい温度が伝わってきて、またベッドに戻りたくなる。

 でも流石にダメだよね……と葛藤し、私はようやく準備に取りかかる事ができた。

 トントンと階段を降り、リビングにいたお母さんに声かける。

「お母さん、おはよう……。」