「不良を警戒する気持ちは分かるから。あたしもさ、不良とは分かり合えないなって思うし」
「……叶希」
「何、芹香? もうちょっと我慢して……」
「馬見塚、いるぞ」
「「えっ?」」
部坂さんと一緒に芹香が視線を向けている方を見ると、校舎の角から姿を現しかけている八雲くんがいました。
強ばった顔をした八雲くんは、私と目が合うと唇を引き結んで、踵を返していきます。
き、聞かれてしまったのですか!?
ど、どこから!?
不味いです、私、八雲くんが好きって肯定して……!
「待って!」
「與那城さっ……」
「お前は動くなよ。もうあいつの邪魔すんな」
背後の声を気にかける余裕もなく、私は八雲くんを追いかけて駆け出しました。



