【中】今さら、付き合いたいなんて。



「不良を警戒する気持ちは分かるから。あたしもさ、不良とは分かり合えないなって思うし」


「……叶希(とき)


「何、芹香? もうちょっと我慢して……」


「馬見塚、いるぞ」


「「えっ?」」




部坂さんと一緒に芹香が視線を向けている方を見ると、校舎の角から姿を現しかけている八雲くんがいました。

強ばった顔をした八雲くんは、私と目が合うと唇を引き結んで、踵を返していきます。


き、聞かれてしまったのですか!?

ど、どこから!?


不味いです、私、八雲くんが好きって肯定して……!




「待って!」


「與那城さっ……」


「お前は動くなよ。もうあいつの邪魔すんな」




背後の声を気にかける余裕もなく、私は八雲くんを追いかけて駆け出しました。