「は……? 叶希! いつも俺が助けられるとは限らないんだぞ!」


「っ、分かってます、八雲くんに助けてもらおうなんて思ってません! もうっ、私に関わらないでください!」


「待て、叶希!」




スマホも回収すると、私は八雲くんから逃げるように、廃倉庫を後にしました。

“恋人がいるから、私の面倒は見ていられない”……八雲くんの言葉が、そう、聞こえてしまったのです。


帰り道は、スマホの地図を頼りにしました。




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「叶希さん」


「……話しかけんな」




八雲くんに助けてもらった日から数日、私は学校で八雲くんを避け続けていました。

頬の湿布も、そろそろ取っていい時期です。




「なぁ、お前、どうしたんだよ」


「……なんでもない」


「なんでもないわけないだろ。いい加減教えろって。じゃなきゃあの優等生殴りに行くぞ」