【中】今さら、付き合いたいなんて。



「あ、ありがとうございます、八雲くん……っ」


「あぁ」




涙混じりに、詰まりながらお礼を言うと、八雲くんは優しく答えてくれました。

それから、私の嗚咽が響く倉庫の中で、私は落ち着くまで八雲くんに背中を撫でてもらったのです。




ずびっ


「……落ち着いたか?」


「はい……」




八雲くんの問いかけにこくんと頷き、そっと体を離して一歩、二歩と下がります。


八雲くんは……部坂さんと付き合ってしまったのですよね。

これ以上、慣れ慣れしくしては……。




「なぁ」




呼びかけられて顔を上げると、八雲くんは久しぶりに見る不良の顔で私を見つめていました。

無愛想だけど、優しい……私の、大好きな瞳です。




「叶希、もうこんなことはやめろ。お前は、優等生の方が似合うよ」


「……!」