【中】今さら、付き合いたいなんて。

帰り支度をして教室を出ると、階段の前に叶希がいた。

目が合ったような気がするが、叶希は俯いてふらりと階段を駆け下りていく。


何かあったのか?




「あ、馬見塚くん……」


「すみません、急用があるので」




早足で階段に向かい、叶希を追うように急いで1階に下りる。

下駄箱で叶希の姿を探すと、横から胸ぐらを掴まれた。




「おいお前っ、叶希になんかしたんじゃねぇだろうな!?」


「……はい?」


「とぼけてんなら容赦しねぇぞ。あいつ泣かせたのはお前か!?」


「!」




叶希の連れの言葉を聞いて、胸ぐらを掴む手をすぐに振り払った。

急いで靴を履き替え、走って校門を出る。


叶希は、どこに行った?


手当たり次第に探すつもりで、周囲を見ながらあちこち走り回ると、緩く巻かれた金髪を見つける。

だが、叶希は見覚えのある連中に連れ去られて、ワゴン車に乗せられていた。