もう、八雲くんに会えないとしても、私は八雲くんの気持ちを知りたかった。
八雲くんに、少しでも近付いてみたかった。
だから、高校では“不良”になってみます。
ドン
「あ、ごめん」
「!? す、すみません……」
「ひぃ、ふぅ……」
「おばあちゃん、大丈夫? 荷物持ったげるよ、どこまで行くの?」
「あらぁ、ありがとうねぇ……」
道中も不良らしく振る舞えたことに満足しつつ、手を振っておばあちゃんと別れ、校門の前に立ちました。
うん、閉まっています。
確か八雲くんは、これを乗り越えて登校するんですよね。
私は気合いを入れて、校門の柵に足をかけ、よい、しょとよじ登りました。
堂々と校内に侵入すると、学校説明会の時の記憶と、張り紙を頼りに教室を探します。



