【中】今さら、付き合いたいなんて。


がむしゃらに走っていた足がゆっくり止まって、どこかも分からない場所で涙がこぼれました。

どうして、こんなことになってしまったのでしょう。


今さら、のんびり構えていたことを後悔したって。

卒業式の時と同じ。もう、遅いのです。



どうして私は、すぐに告白しなかったのでしょう?

そうすれば、好きと告げる前に、失恋せずに済んだのに。



今さら、八雲くんと付き合いたいなんて……言えません。




「おーおー、その金髪、その顔は忘れもしねぇ、あの時のアマ!」


「1人で泣いちゃってどうした~? あの彼氏に振られたのか? お?」


「っ……あ、あんた達、は……!」




横から声をかけられて振り向くと、休日にナンパをしてきた男性達がいました。

どうして今、と思いながら慌てて涙を拭い、キッと睨みます。