【中】今さら、付き合いたいなんて。



「なんであんたにそんなこと言われなきゃなんないの?」


「そ、それは……っ」


「何もないなら、外野が口出さないでくれる?」




八雲くんなら、迷惑に思っていれば直接言うはずです。

申し訳ありませんが、本人が迷惑だと思っていないことを、他の人に言われてやめる気はありません。


そんな思いで断ると、部坂さんの瞳にはじわりと涙が浮かびました。

うぅ、ちょっと胸が痛いです……。


でもそんなちっぽけな罪悪感は、部坂さんの次の言葉で吹き飛びました。




「ま、馬見塚くんは、わたしと付き合ってますからっ!」


「…………は?」




や、八雲くんが、部坂さんとお付き合いを……?

そんなこと、聞いてな……いえ、報告する義務なんてありませんが。


……ほ、本当に……?