受験準備が始まった頃から抱えていたそんな思いが、私の行動に少しずつ影響を及ぼしました。

そして、今……。



鏡には、メイクをしたと一目で分かる私の顔が写っています。

最後に口紅を塗って、私は八雲くんとお揃いの色に染めた髪を持ち上げました。


もう片方の手にコテを持って、ネットで勉強した通りに髪を巻いていきます。

もう、真面目な優等生はいません。




「あたしは與那城(よなしろ)叶希(とき)。校則破り上等の不良だ」




どこからどう見ても派手な不良な“あたし”を見つめて、体に馴染ませるように呟きました。


……これで、完璧です。


今日は、高校の入学式。

でも、私は早速入学式をサボって、これから登校するのです。


鏡の前でニッと笑って、リュックを取りました。




「行ってきま~す!」