【中】今さら、付き合いたいなんて。

や、八雲くんの匂いが! それに体温も!

あ、頭が、クラクラしてきました……っ!




「……行ったみたいですね」


「ぷはっ……」



そっと口を解放されて、はくはくと新鮮な空気を吸いました。

八雲くんは私の顔を見ると、驚いたようにパッと離れます。


鏡を見なくても分かります、私の顔はきっと真っ赤っかです。




「すみません」


「みっ、見んな!」


「はい」




腕で顔を隠しながら言うと、八雲くんは素直に目を逸らしました。


私の心臓がバクバクしていたのは、聞こえていませんよね……?




「た、助けてくれたのは、感謝してる」


「……偶然通りかかったので。その格好で、あまり出歩かない方がいいですよ」


「そ、そんなこと言っても、外に出ないなんて無理だし」


「じゃあ、せめて1人で出歩かないでください。どこかでこんなことになられてたら、気が気じゃないです」