あの八雲くんがせっかくクラスメイトの皆さんと仲良くしているんですから。

中学時代は何度言ってもつっけんどんな態度で、孤立していたんです。

これは感動的な場面なんですよ。




「なぁ、教科書見て覚えられるならさ、素数とか円周率とかも結構暗記してんの?」


「……暗記するほどの要素、ありましたっけ?」


「何言ってんだよ、ど定番もど定番だろ? 円周率なんて終わりがないくらいあるし」


「へぇ……3.14で終わりじゃないんですか。知りませんでした」




八雲くんがさらりと言うと、周りの皆さんが一斉に引き攣った表情をしました。


ま、不味いです、空気が凍っています……!




「なんだ、行くんじゃねぇか」




芹香の声を聞きながら、私は八雲くんの席へ急ぎます。