今日の私は珍しく、芹香(せりか)の席にいます。

それと言うのも……。




「えっと、ここは……」


「その公式の応用ですよ」


「凄いな、馬見塚(まみづか)。習ったばっかりなのにもう使いこなしてるのか?」


「まぁ、教科書に書いてありますから」




私は教室の後ろから、じーっと八雲(やくも)くん達を眺めました。

プチ勉強会が開催されているのは、八雲くんの右隣の席を中心とした場所です。




「あ、ありがとう。馬見塚くんって頭が良いんだね」


「いえ。たまたま得意な分野だっただけです」




頬をほんのり赤くして微笑んでいるのは、八雲くんの前の席にいる部坂(へさか)さん。

八雲くんもニコリと愛想良く笑って応えています。


むぅ。




「気に入らねぇなら邪魔してくればいいじゃんか」


「そ、そんなわけにはいかないの」