「元気で、な。……もう、俺みたいな不良に近付くなよ」


「……はい。八雲くんも、お元気で」




別れの言葉なんて、言いたくありません。

でも、タイムリミットは着々と迫っています。


何も言わずに別れるなんて嫌です。

だから、“さようなら”と言わなきゃいけません。


でも。

でも。

でも……。




「……じゃあな」


“待って”




掠れた別れの言葉に、心の叫びが口をついて出そうになりました。

引き留める言葉を飲み込むと、一層涙が溢れ出してきます。




「さようなら……っ」




私の口から出たのは、涙混じりの声でした。

漏れ出そうになる嗚咽を堪えると、くしゃっと、頭を撫でられる感触がします。