『え、勉強嫌いなんですか? 楽しいのに』


『私、オシャレはちょっと……』




白々しい嘘に、思わず笑いそうになった。

“これ”を見守るのも、楽しいかもしれない。

心配も多いが。




「――よろしくお願いします」


「はい、ありがとうございました」




気がついたら全員の自己紹介が終わっていた。

チラッと先公を一瞥して、叶希を眺め続けているとまた目が合う。




「あの」


「な、何っ、なんか文句ある?」




声をかけてみれば、上目遣いで見つめられた。




「いいえ? 可愛いなと思っただけです」


「かわっ……!?」




口から漏れたのは隠し忘れた本心だが、叶希の赤面が見れたからよしとする。

自然と口元が緩んで、チクチクと良心を刺激する為の言葉を探した。