「お名前は?」


「えっ? へ、部坂(へさか)です……!」


「あぁ、前後の席ですね。馬見塚(まみづか)です。よろしくお願いします」


「は、はいっ、よろしくお願いします……!」




特に覚える気は無かったが、自分の席を確認する時、横の席の名前も視界に入って、ドクン、と心臓が重い音を立てた。


――與那城(よなしろ)叶希(とき)


まさか、と口が渇く。

あいつなら、もっと偏差値の高い高校に行っているはず。

俺が多少足掻いて入れる程度の高校は、あいつの学力の足下にも及ばないはずだ。


だけど、こんな珍しい名前が早々被ることなんて、といつの間にか口を押さえていた。


会えるのか、あいつに。

高校でも、一緒に過ごせるのか。


今度は、一線を越えて。




「これより、入学式を開会します」