「叶希さん。これから、よろしくお願いしますね」
いつもと違う言い方で名前を呼ばれて、ドキッとします。
八雲くんに意識を戻すと、反応を観察するように微笑んで眺められていました。
その視線にドキドキしつつ、八雲くんの言葉の意味を考えてみます。
……それは、新しい関係を築いていこうというお誘いですか?
「……こちらこそ。まぁ、よろしく」
八雲くんから提案してくれるなんて嬉しい。
そんな気持ちに気付かれないように、顔の横の髪を指に巻き付けて表情を隠しました。
今は、色んな動揺を横に置いて。
高校でも、八雲くんと一緒にいられる……その事実を、素直に喜んでもいいのかもしれません。



