ざわざわとする教室から、そんな声が聞き取れます。

私は笑顔を浮かべたまま「與那城叶希です」と名乗って、八雲くんのネクタイを掴みました。

私の肩には、八雲くんの手が回って、ぐいっと抱き寄せられます。




「こちらは馬見塚八雲くん。私の彼氏です。手出し厳禁でお願いしますね」


「叶希は俺の女だ。ちょっかい出せば……分かるな?」




2人で睨みをきかせれば、クラスメイトの皆さんはごくりと唾を飲み、黙り込みます。

それから、声を揃えて驚きました。




「「「あの不良と優等生!?」」」




驚愕の視線に気分をよくして、八雲くんを見ます。

八雲くんも私を見ると、ふ、と微笑んで顔を寄せました。


ちゅ、と。

大衆の面前でキスをするのも、慣れたものです。


付き合って半年以上が経つ、今さらになって思うのですが……。

八雲くんと付き合えて、本当によかったです!




[終]