【中】今さら、付き合いたいなんて。


無愛想に、気怠げに。

中学時代馴染み深かった八雲くんの姿に、思わず頬が緩みます。


唯一1年の時と変わらない芹香は、はぁと溜息を吐いて頭を掻きました。




「まぁ、約束通り付き合いは続けてやるから、あんま気持ち悪いことすんなよ」


「うん! ありがと、芹香」


「ハイハイ。じゃあ、私はこっちだから」




違う教室に入る芹香を見送り、私達は目を合わせて1つ隣の教室に入ります。

もちろん、手は繋いだままです。




「おはようございます」


「……」




私はニコリと笑って挨拶を、八雲くんはそっぽを向いて黙ったまま。

中学時代と同じ入り方をすれば、クラスメイトの皆さんはぽかんとした顔で私達を見ました。




「あんなやつらいたっけ……?」


「男子の方イケメン~」


「あの子可愛くないか?」


「何、転校生?」