【中】今さら、付き合いたいなんて。


八雲くんと手を繋いで、小走りで校舎に入ると、まばらにいる人から視線を感じます。

聞こえてくるのは「あんな人いたっけ?」という声ばかりです。

これは、正体がバレた時が楽しみですね。




「お前……叶希か?」


「あっ、芹香(せりか)。おはようございます!」


「うわ、気色わりぃ。敬語で喋んな。マジでキャラ作ってたんだな」


「う~ん、この姿でこの喋り方すんの違和感あるんだけど……ま、そういうこと」




教室に向かう途中で友達の芹香と会い、挨拶を交わします。

芹香は私と話し終わると、隣の八雲くんに視線を移しました。




「で、そっちが元優等生と」


「元は叶希だ」


「こっちも気持ちわりぃな……お前ら見た目と中身入れ替わったんじゃねぇの?」


「そうとも言えるかな~。あたしは八雲と髪色お揃いにしたし」


「俺は叶希の真似してたから」