八雲くんと手を繋いで、小走りで校舎に入ると、まばらにいる人から視線を感じます。
聞こえてくるのは「あんな人いたっけ?」という声ばかりです。
これは、正体がバレた時が楽しみですね。
「お前……叶希か?」
「あっ、芹香。おはようございます!」
「うわ、気色わりぃ。敬語で喋んな。マジでキャラ作ってたんだな」
「う~ん、この姿でこの喋り方すんの違和感あるんだけど……ま、そういうこと」
教室に向かう途中で友達の芹香と会い、挨拶を交わします。
芹香は私と話し終わると、隣の八雲くんに視線を移しました。
「で、そっちが元優等生と」
「元は叶希だ」
「こっちも気持ちわりぃな……お前ら見た目と中身入れ替わったんじゃねぇの?」
「そうとも言えるかな~。あたしは八雲と髪色お揃いにしたし」
「俺は叶希の真似してたから」



