桜の花びらが舞い散る中、無造作に遊ばせた金色の髪が揺れます。

ブレザーを着崩し、ネクタイを緩く締めた男子の名前は、馬見塚(まみづか)八雲(やくも)くん。

くぁ、と怠そうに欠伸をする姿は、遅刻寸前とは思えません。




「ホームルームに遅れるじゃないですか。急いでください、八雲くん!」


「多少遅れてもいいだろ……つーか、絶対面倒くせぇから行きたくねぇ」


「何言ってるんですか。私の最高の彼氏を見せつけるチャンスなんですよ」


「それなら、遅刻していった方が目立つんじゃねぇ?」




八雲くんの隣を歩く私の名前は、與那城(よなしろ)叶希(とき)

ストレートの黒髪が特徴の、真面目な優等生です。

1年前は、少し変わった生活を送っていましたが。




「……それもそうですね。のんびり歩いて行きましょうか」


「優等生が流されんなよ。初日からちゃんとしないと、変な噂流されるだろうが」