「あのさ、ああいうのやめてくれない?」
美憂の友達と別れたあと、私はすぐに注意をした。
「ああいうのって?」
「私のことを自慢なんて言わなくてもいいってことだよ」
明らかに困っていたし、どういう反応をしたらいいのかわからないって顔してたのに、美憂はそれに気づきもしない。
「なんで? 和香ちゃんは私の自慢だよ?」
美憂はきょとんとしていた。私がなんで怒っているのかも理解できてないようだ。
さっきの人たちは今頃、私と美憂の容姿を比べながら、ああだこうだと笑っているに違いない。
美憂が性格の悪い子だったら、どんなに楽だろう。
自分の評価を上げるために、わざと私のことを褒めてくれてるほうが、よっぽど清々しい。
なのに美憂は本気で『私より和香ちゃんのほうが』なんて言ってるから、厄介なんだ。
「美憂はなんでいつもそうなの?」
わかってよ、いい加減。私は褒められるほど、惨めに思う。美憂の悪意がない、悪意にうんざりする。イライラしてる。もうこんな気持ちになるのは疲れた。
「……なんで、双子なの」
「え……?」
「私は美憂と双子になんてなりたくなかった」
そう吐き捨てた瞬間、美憂の顔が悲しみに変わった。私はそれすらも見たくなくて、彼女を置き去りにして歩き出した。
謝らなかった。謝りたくなかった。
私にとっては本当のことだった。
美憂の体調が悪化したのは、それから二日後のこと。発作を断続的に繰り返すようになった彼女はそのまま入院生活となり、私は病室を訪ねることはなかった。



