紫陽花が泣く頃に






次の日。朝から頭が痛かった。おそらくこれは風邪じゃなくて、精神的なものだ。

「柴田さん、いつも以上に不機嫌じゃない? 小暮くんと喧嘩でもしたのかな?」

黒板を消していたら、クラスメートの女子が後ろでこそこそ話していた。私はただ女子たちが黒板の前で屯していたから「退いて」と言っただけなのに。

少しだけ視線をやると、「うわ、睨まれちゃった」と、女子たちは逃げていった。

……べつに睨んでないし。再びため息をついたところで「手伝うよ」という声がした。振り向くと、そこには小暮がいた。

「手伝うじゃなくて、小暮も日直なんですけど?」

「だから日直の雑用が終わったから、こっちも手伝うよって意味だろ」

「じゃあ、上のほうの文字を消して」

「うん」

私が背伸びをしても届かない場所を、小暮は簡単に綺麗にしていった。

「さっき社会科のプリントをまとめてくれって頼まれたんだけど、放課後ってなんか用事ある?」

「それって日直の仕事なの?」

「俺にキレるなよ」

そんなの、先生が自分でやればいいのに。でも私がやらなくても、小暮はきっと残ってやっていくに決まってる。