紫陽花が泣く頃に



「そういえば千紘くんって、また背が伸びたよね」

「美憂は縮んだね」
  
「身体測定では一センチ伸びてたもん!」

「俺、五センチ伸びてた」

「もう~、張り合わないでよ」

十か月という期間で、こういうじゃれ合いもできるようになった。さらに、最近変わったことがもうひとつある。中学三年生になった美憂が、日に日に綺麗になっていくことだ。これはノロケなんかじゃなくて、美憂は女神のように美しい。

だから俺も釣り合うようになりたいけれど、願望だけで現実はちっとも垢抜けたりはしない。

「また同じクラスでよかったよね」

「三年間一緒とか、けっこうすごいよな」

「私が神様に頼んだおかげかな」

さらに、美憂が腕をぎゅっとしてきた。

家へと続くあぜ道の途中で、角田のおっちゃんが運転する軽トラックとすれ違った。プッと一回クラクションを鳴らされて、美憂は慣れたように頭を下げる。

学校では批判の嵐でも、近所を歩く時だけは誇らしい。こんな可愛い子が俺の彼女なんだぞ、と大声で言い回りたいほど、美憂は俺の自慢だった。