紫陽花が泣く頃に




ありもしない噂を流されるのは迷惑だけど、しばらくは俺と柴田が付き合っているということにしておいたほうがいいかもしれない。

柴田は嫌かもしれないけれど、管野の暴走を止めるストッパーにはなると思う。

柴田は強がりだけど、ふつうの女の子だ。

俺は柴田に、傷ついてほしくない。

教室に担任が入ってくると、教室の騒がしさが少しだけマシになった。俺はいつものように窓の外を見る。ガラス越しに、退屈そうに頬杖をついている柴田が映っていた。

なにひとつ似てないと思っていた柴田と美憂。だけど姉妹だとわかった途端に、ふたりの面影が面白いほど重なってくる。

――『この前、妹とね……』

頭の中で、美憂の声がよみがえる。たしかあれも雨の日だった。