その日の帰り道。私は早歩きで、とある場所に向かっていた。その途中で、仲睦まじいカップルとすれ違った。
「今日ホラーのDVD見ようよ」
「えー、誘うわりにはお前ってすぐ怖がるじゃん」
ひとつの傘をふたりで使っていて、楽しげな声を響かせている。
美憂が生きていたら、きっとこんな風に毎日アイツと帰って、今でも仲良く過ごしていたんだと思う。
好きな人といる時間がどれほど尊いものなのか私は知らない。だけどそれはなにものにも代え難いものだったんだろう。それを証明するように、美憂を失ってしまった小暮は空っぽだ。
「人のことを呼び出しておいて、遅れてくるとかいい身分だよな」
公園に着くと、その入口に管野が立っていた。彼が言ったとおり、私がここに来てほしいと頼んだ。
「うちの鍵、返してくれない?」
「なんのこと?」
「今さらとぼけられると思ってんの?」
いつの間にかすり替えられていた鍵。その犯人が管野だということはわかっていたし、学校じゃなくてべつの場所を指定したのは、邪魔が入ってほしくなかったからだ。
これ以上、管野と関わりたくないし、嫌がらせの相手をするのも面倒だから、今日限りで終わりにしたかった。



