紫陽花が泣く頃に







――ガタッ!

物音で目を覚ますと、いつの間にか朝になっていた。どうやらあのまま寝てしまったようで、制服すら脱いでいない。

……マジかよ。飯も食ってないし、風呂も入ってないんだけど。ひとまずシャワーだけを浴びて学校に向かう支度を始める。制服のネクタイを締め直して鏡の前に立つと、途端に空虚感に襲われた。

ここは、美憂がいない世界。一生守ると決めたはずだったのに、彼女のことを守れなかった自分がいる世界。

どうして美憂がいないのに、俺は生きてるんだろうか。なんで美憂は十五歳のままなのに、俺だけが十六歳なんだろう。

彼女と過ごした日々は、幸せに満ちあふれていた。


――『……ごめん、千紘くん。実は今まで隠していたことがあるんだ』

あの言葉を、聞くまでは。