紫陽花が泣く頃に



「和香ちゃん、これどうぞ」

美憂がおもむろに、なにかを差し出してきた。

「なに?」

「開けてみて」

なんだろうと思いながら、ラッピングされたリボンをほどいて包装紙を開けた。そこには青色のシャーペンが入っていた。キラキラしてると思ったらビーズ入りのチャームも付いている。

「和香ちゃん、誕生日おめでとう!」

美憂から言われて、ハッとした。……誕生日、そっか。今日だった。

「これって、私のプレゼント?」

「うん、もちろん!」
 
「ごめん。私なんにも用意してないよ」

当然、美憂の誕生日も今日だ。なのにすっかり頭から抜け落ちていた。

「私が和香ちゃんのお祝いしたかっただけなんだからいいんだよ」

「ありがとう。大事に使うね」

「うん!」

シャーペンを傾けると、球体の中に入っているビーズも一緒に動いた。

ざあ、ざあ、ざあ。

「……海みたい」

自然とそんな感想が漏れ出ていた。すると、なぜか美憂が「ぷっ」と吹き出した。

「やだ。同じこと言ってる」

「誰と?」

「プレゼント選びを手伝ってくれた友達と」





――『なんで、このシャーペンを柴田が持ってんの?』

アイツから問われた瞬間に、私はすべてのことを察した。まさか、美憂とプレゼント選びをしてくれた友達が小暮だったなんて、知らなかったのだ。

たぶん、美憂との関係がバレた。それ以前にも勘づかれてる節はあったけど、なんとか誤魔化してきた。でも今回ばかりは無理だ。

明日の学校、どうしよう。

小暮になんて言われるのか、どんなことを聞かれるのか、考えただけで憂鬱だった。