紫陽花が泣く頃に



それと、もうひとつだけ和香ちゃんに伝えたいことがあります。

小暮千紘くんのことです。

この手紙を読んでいるということは、もう彼と出逢っていると思います。

和香ちゃんから見て、千紘くんはどうですか?

私が話していた人とは違いましたか?

和香ちゃんのことだから、『なんで美憂はコイツを選んだんだろう』なんて、何回も思ったはずです。

それはね、千紘くんが和香ちゃんに似てるからだよ。そう考えると私は和香ちゃんにも恋をしていたのかもしれない。

もちろん家族愛だけど、和香ちゃんはずっと私にとって大切な存在です。

和香ちゃん。もう一度聞きます。

和香ちゃんから見て、千紘くんはどうですか?

彼は誠実で優しい人です。

私が好きになった人です。

和香ちゃんのことも大事にしてくれる人です。

きっと千紘くんは和香ちゃんの笑える場所にも泣ける場所にもなってくれる。それは私が保証します。

これは千紘くんにも伝えたことなんだけど、和香ちゃんにも言っておくね。

もしもこの先、誰かを好きになったら私に遠慮なんてしないでね。

後ろめたい気持ちなんて感じなくていいから、和香ちゃんが自分で選んで後悔しない選択をしてください。

それが、ひとつ目の約束。

ふたつ目はちょっと私の心配ごとなんだけど、千紘くんはひとり暮らしなので、あまり食に興味がありません。

気が付くといつもコンビニのお弁当ばかりを食べてます。だから、料理上手な和香ちゃんがたまに千紘くんにご飯を作ってあげてください。

それと、お母さんとお父さんのことをよろしくね。

和香ちゃんなら、きっと私以上の架け橋になれると思うから。

和香ちゃん、今まで本当にありがとう。

和香ちゃんと双子に生まれて、家族になれて、十五年間一緒にいられて、すごくすごく幸せでした。


高木美憂