冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す

居間の座布団に香世を座らせると、待っていろと何処に行ってしまう。

しばらくすると、冷たいお水を汲んで持って来てくれた。

「ありがとうございます。
でも大丈夫ですよ。せっかくのお休みですし、のんびりお休みになって下さい。」
香世は微笑みを浮かべそう伝える。

「香世の大丈夫は信じ無い事にしている。
そろそろ風呂が沸いたな。」
素っ気なくそう言ったかと思うとまた抱え上げられ、今度は風呂場に連れて行かれる。

「洗ってやろうか?」と、悪戯っ子な目で正臣が言うので「大丈夫です。」と、慌てて脱衣所から追い出す。

ハハッとドアの向こうで笑い声を聞き、
「ゆっくり浸かれよ。」
そう言って去って行く足音に、香世もホッとして笑顔になる。

温かなお風呂に浸かりながら、
正臣の愛情を感じ大事にされている事に幸せを感じる。

香世は密かに、私ももっと体力を付けて正臣さんに尽くさなければ、と心に決めた。