夕方近く、正臣は病室でひたすら香世に寄り添い手を握っていた。
それぐらいしか出来なかったが、
側から離れる気は毛頭無い。
先程、軍法会議を代わりに出席した真壁が駆けつけて来た。
「大将が直接、二階堂中尉はお咎め無しと
通達がありました。」
正臣はハッと鼻で笑って、
「いっその事、首にしてくれたら良かったのに。」
と、辛辣な事を言う。
「何を馬鹿な…、貴方がいなくなったら
我々はどうすれば良いのですか!」
真壁は嘘でも恐ろしいと言うような顔で
正臣を見る。
その声に反応したのか握っていた香世の指がピクッとなる。
正臣は慌てて香世の顔を覗き込み、
「香世、香世…?」
と、声を掛ける。
瞼が震えて薄く目が開く。
「香世!分かるか?」
ボーっとしながらも香世は辺りを見渡し、
正臣を見つめる。
「正臣様……ここは…?」
弱々しいながらも声が聞けて、
正臣はここでやっと安堵する。
「…私どうして…?」
ボーっとする意識の中で一生懸命に思い出そうとする。
「父がすまなかった。
突然来た上に酷い言葉を投げつけられたのでは無いか?
あの人の言葉は一切気にしなくていい。」
痛々しいほど唇を噛む正臣の頬に手を伸ばし
「私は大丈夫ですから、ご自分をあまり責めないで…。」
と、香世は言う。
それよりも何よりも、
正臣は香世から触れて来た事に驚きを隠せない。
香世が記憶を失ってから一度もそんな事は無かった。
手に触れるだけで真っ赤になっていたのに…
それぐらいしか出来なかったが、
側から離れる気は毛頭無い。
先程、軍法会議を代わりに出席した真壁が駆けつけて来た。
「大将が直接、二階堂中尉はお咎め無しと
通達がありました。」
正臣はハッと鼻で笑って、
「いっその事、首にしてくれたら良かったのに。」
と、辛辣な事を言う。
「何を馬鹿な…、貴方がいなくなったら
我々はどうすれば良いのですか!」
真壁は嘘でも恐ろしいと言うような顔で
正臣を見る。
その声に反応したのか握っていた香世の指がピクッとなる。
正臣は慌てて香世の顔を覗き込み、
「香世、香世…?」
と、声を掛ける。
瞼が震えて薄く目が開く。
「香世!分かるか?」
ボーっとしながらも香世は辺りを見渡し、
正臣を見つめる。
「正臣様……ここは…?」
弱々しいながらも声が聞けて、
正臣はここでやっと安堵する。
「…私どうして…?」
ボーっとする意識の中で一生懸命に思い出そうとする。
「父がすまなかった。
突然来た上に酷い言葉を投げつけられたのでは無いか?
あの人の言葉は一切気にしなくていい。」
痛々しいほど唇を噛む正臣の頬に手を伸ばし
「私は大丈夫ですから、ご自分をあまり責めないで…。」
と、香世は言う。
それよりも何よりも、
正臣は香世から触れて来た事に驚きを隠せない。
香世が記憶を失ってから一度もそんな事は無かった。
手に触れるだけで真っ赤になっていたのに…



