冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す

一方正臣は前田の運転で病院に急ぐ。

ぐったりとした香世を隣に寝かせ膝枕をする。

軍法会議の最中だった。

しかしそんな事はどうでも良かった。

会議前ギリギリで古賀から電話で伝えられた内容に人知れず怒りを覚えた。

部下をこちらに寄越すことも可能だったが、
自ら乗り込んで香世を守りたいと切望した。

気を失った香世を見て、
何故もっと早く阻止出来なかったのかと悔やむ。

彼女の細っそりとした首に指を当て、
脈を測る。
トクトクと打つ脈を確認して安堵はするが不安は拭えない。

このまま2度と目覚めなかったらと思うと
とてつも無い恐怖を感じる。

香世が何事も無いことをひたすら祈る。