冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す

しばらくして興奮気味の龍一と 
苦笑い気味の正臣が風呂から戻って来た。

「お姉様!凄いんだよ。
二階堂様、腹筋が割れてるんだ。
二の腕なんてカチカチなんだよ。
僕も鍛えればあんな風になれるかなぁ。」

興奮冷めやらぬように話し始める龍一を
香世はなだめながら聞いている。

「俺も久しぶりに楽しい風呂に入った。」
笑いながら正臣が言う。

「二階堂様、ありがとうございました。」
香世は頭を下げてお礼を言って、
冷たい麦茶を正臣に差し出す。

「ありがとう。」
麦茶を受け取り正臣はごくんと一息で飲み干す。

「香世もサッと浴びて来るか?
風呂に行く時は言ってくれ俺が場所を教える。」

「はい。ありがとうございます。
龍一を寝かせたら、今すぐに戻って来ますね。」

香世は一旦、居間から出て龍一と姉を連れて客間へと向かう。