とうされた部屋は8畳ほどの和室が2間続き間になっていて、一つの間には赤い絨毯が引かれている。

これは華見せのような部屋で、
舞踊や琴などを披露するのだろうと思う。

遊女は座布団を3枚敷き座るように促す。

「お飲み物はどう致しますか?」

「何も要らなぬ。早く香世殿を連れて参れ。」
二階堂は香世の安否が気になり、
早く会いたいと思う。

「香世ちゃんは今、お支度の途中だよ。
そんなに大事なら何故手放したんだい?」

「直ぐに連れ帰るのに支度なんて必要無い。」
二階堂は苛立ち、そう告げる。

「ここでは、女将が絶対なんだ。
女将の指示に従わない者は折檻行きだよ。」
遊女はそう笑って部屋を出て行く。

香世が遊女の衣装を身につけるのは、
いささか見ていられないなと、二階堂は渋い顔をする。