冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す

「香世の安否は?」
正臣は、言葉少なに真壁に問う。

「すいません…確認、出来ませんでした。」
真壁は何と言葉にするべきか迷うが、
感が鋭い正臣は察しがついてしまう。

「足取りは掴めたんだろ?」

「…はい。」

「そうか…。」

2人の間に少しの間沈黙が流れる。

「香世の事は、例え自分の命を引き換えにしてでも助け出す。」
正臣の心は既に決まっていた。
彼女のいない人生なんて考えられない。
失う訳にはいかないのだ。

絶対に助け出す。

そんな気持ちで冷静にもなれた。

「分かりました。
…自分はいついかなる事があろうと、
貴方を守るのみです。」
また、真壁も心を決める。

現場までの道のりは遠くないはずなのに
2人には遠く、焦りと苛立ちを覚えた。