「正臣様…あの、重くないですか?」

少し物思いにふけっていると
香世が膝の上から降りようとする。

「香世が重かったら何も持てない。」
香世の頬を撫で、ずっとこうしたかったのだと言うように両手で頬を抑え唇を重ねる。

啄むように角度を変えて何度となく口付ける。
そうしていると香世の息が上がっていくから
つい、もっと深く繋がりたいと唇を割って入り込む。

このまま全てを奪ってしまいたいと思う衝動に駆られる。

ずっとこうしていたいのだが、
香世がくたっと寄りかかて来るから

「ごめん、やり過ぎた。」
咄嗟に離れて髪を撫でる。

そうすると、香世が首を横に振り抱きついてくるから…

無自覚な可愛さを振りまいて俺を翻弄する。俺はまた煩悩と戦うしかない。

しばらくそのまま抱きしめていると、
スースーと寝息が聞こえてくる。

ああ、香世も昨夜は眠れなかったんだな…

そう思い抱き上げて居間に戻り座布団の上にそっと寝かす。

寒くないかと押入れから毛布を引っ張り出し香世に掛け、添い寝をするように一緒に寝転がる。

思いがけず、香世の寝顔を堪能するという至福の時を手に入れる。

あどけない寝顔を見つめながらしばらく幸せを噛み締めていると、
段々と自分も眠くなってきてうたた寝してしまった。